●自然・地誌
パキスタンは東側をインド、西側をアフガニスタン、イランと国境を接している。インドとの係留地であるカシミールは、中国の新疆ウイグル自治区とチベット自治区にも接しており、1978年に完成したカラコルム・ハイウェイは首都のイスラマバードかと中国のカシュガルを短時間で結びつけている。パキスタンの北端にはカラコルム、ヒンドゥークシュ両山脈が走り、その山間から南のアラビア海まで国土の中心をインダス川が貫流している。インダス水系は産業とくに農業にとってきわめて重要で、その流域平野に国民の80%以上が住んでいる。
気候は、北部山岳地帯と南部の平野部で大きく違う。1年は短い冬と長い夏に分かれ、、また夏の後半2〜3ヵ月の雨期とそれ以外の乾期に分かれる。夏は4月頃から始まり、5〜6月は最暑期になり、日中の気温は40℃を超えることも珍しくない。冬は平地では快適であるが、山岳地帯の寒さは厳しく、深い雪が見られる所もある。

●北方地域−Northern Territory
この北方地域には5つの8000m峰と数多くの7000m峰が連なり、その間に長大な氷河が流れている。ギルギットとスカルドゥを除くと、村は小さく、人々は氷河の溶けた水を引いて、僅かなオアシス農業を営んでいる。夏になると、4000m以上の山の斜面に開けた夏村にヤギや羊を放牧し、動物と共に生活している。

●カラコルムハイウェイ
インドとパキスタンが1947年に分離独立すると、インダス川上流のギルギットの住民がいち早くパキスタンへの合体を宣言した。独立前は、ギルギットから平原部に出るのはスリナガール経由であったが、スリナガールがインド領になったため、新しい道の建設が急務になった。1959年にインダス川の河岸道路の建設が始まり、1967年にパミールを越えてギルギットとカシュガルを結ぶハイウェイの建設が、中国と合同で始まった。多くの犠牲者を出しながら、1978年に全長800kmの全線2車線でトラックの通行が可能な道が完成した。この道によって、パキスタンと中国の交通、輸送が大きく改善された。